『中央銀行は持ちこたえられるか』河村小百合
『データが語る日本財政の未来』明石順平

以上2冊を読んだ感想を書く。

一言で言えば、著者たち消費税減税反対派は、「借金は返さないといけない」「大衆受けする政策は必ず将来につけが回る」「預金がないと借金できない」「インフレは制御できない」という考えに固執している。
確かに、政府の借金は少ないに越したことはない。しかし、今はデフレだ。格差は益々広がり、弱いものから死んでいく。財政出動して、弱い個人に直接お金が渡る政策をとるべきだ。
著者は、減税と財政出動がデフレから脱却する方法であることは短期的には正しいと認めているのに、現在のデフレ下で取りうるインフレ抑制政策がどれも有効ではないことを理由に、インフレは制御できなくて国債暴落と円安を止めることができないから、このままデフレ政策を続けるしかないと言っている。しかし、その政策は、現在の国民を苦しめるし、借金を減らすことで国民のお金も減るのだから、未来もない。
今、打つ手は、借金を増やすしかないのだ。それによって将来のリスクが増すとしても、その時に適切な政策をとることで、国債暴落と円安を止めることはできる。
アベノミクス(リフレ派)が失敗したとの批判には賛成するし、その失敗を認めない現政権は信用できない。政権交代して、新しい財政の考え方のもとでの財政出動を行うことが、最善の選択だと思う。

以下、細かい議論を書く。消費税減税反対派(=MMT反対派、緊縮派)の著者たちの考えと、→以下の私の反論である。

1.国家財政を家計と同じと考えると、借金を返さなくていいわけがない。→国家財政は家計と同じではない。そもそも、お金は借金によって生まれている現実を認めれば、政府の借金と家計の借金を同じと考える必要がないことが理解できる。

2.大衆が賛成する政策は選挙目当ての大衆迎合(ポピュリズム)なので、将来に必ずつけが回る。→今までそうだったから今度もそうだという思い込み。

3.国民の預金が国債を買う原資になっているのだから、円安になると国債を買う資金がなくなる。→預金が先ではなく、借金が預金を生んでいるのが現実。

4.増税して借金を減らしていかないと、ある時、国債の買い手がいなくなり、国債の利払いが払えなくなり、国債が暴落し、円安になって国の財産が無くなる。→20年も前からそう言われているのにその時は未だ訪れない。また、借金を減らすこと自体が、国の財産を無くすことになることを認めるべき。それを認めれば、増税して借金を減らすことが、いかに悲惨な結果を招くことになるか想像できるはず。

5.減税と財政出動がデフレから脱却する方法であることは、短期的には正しい。しかし、将来のことを考えると、短期的に正しい政策を取るべきでない。→今、支えないと死んでしまう状況にある人がいるという切実さがない。

6.借金を減らしておかないと、インフレになったときに制御できない。→現在有効なインフレ抑制政策が、インフレになったときに使えないことを懸念しているが、景気が良くなり、インフレになったときには、違うインフレ抑制策を使うことができる。政府通貨という利子の付かないお金を発行することと合わせれば、借金が多い状況でもインフレを制御する方法はある。

7.高橋内閣のあとに軍部が政権を握り、どんどん借金して戦争に突入したことなどの過去の事例から、日銀が直接国債を引き受けることに反対。→過去を反省して、そうならないようにすればよい。